サクラの季節に読みたくなる。
サクラが咲く季節は一年のなかでも特別な時間だと思う。
いつも身近にあるサクラの木の花が咲いて散るのが一瞬で、今のうちに見ておかなきゃという気持ちに毎年させられる。
人間の予定に合わせて咲いてくれないので、大切な日にはもう散っていたなんてことはよくあって。
テレビでも季節になると「そろそろ咲きそうです」といったサクラの情報が流れてくる。
つぼみが膨らむのと同時に人々の気持ちも膨らんで、開花してからは花を見ていてテレビでどう伝えてるか分からない。
高まる気持ちとはウラハラに、大人数で宴会をする花見が苦手だ。
隙間なく引かれたブルーシートを見ながら、この人たちは上すら見上げないだろうと毒づきながら帰り、静かになった夜に街灯に照らされたサクラを見ながら、この本を開く。
『拝啓 サクラさく』絵:黒田征太郎 文:日暮真三
この本はテレビで紹介されていて気になって手にとった。
本の帯にもなっているが宮沢りえさんがお勧めしている一冊。
書きなぐったような絵が、狂ったように散っていく桜の美しさを表現しているようで、絵だけみていても楽しめる。
大人の絵本って、とても良いと思った。